■狩猟従事者は40年で3分の1以下に

 絶滅の危機に瀕した動物が勢いを取り戻したというのは喜ばしいことだが、規制によって過剰な頭数になってしまうのは問題。生態系を守るため、また安全な社会のためにも、バランスは必要である。

 そんな役目を担う存在の一つが“ハンター”だ。増え続ける野生動物の頭数を抑える“インフラ”ともいえる猟師。かつては日本でも、多くの猟師がいて、その役目を果たしていたのだが、

「環境省の公開する『年齢別狩猟免許交付状況』によると、1970年度には約53万人だった狩猟従事者は、2010年度には約18万人と3分の1以下に。しかもそのうちの約6割が60歳以上と高齢化も進んでいるんです」(前出の全国紙社会部記者)

 バブル期には、一般の人でも趣味として狩猟をする人が少なくなかったというが、なぜここまで衰退してしまったのか。前出の岩井氏は、こう分析する。

「最も大きな要因は、“農村の過疎高齢化”でしょう。農村部の野生動物を管理する必要性を自分のこととして考える人が減ってしまっている。そのため、ハンターというハードルの高い活動をする人が減ってしまっているんです。さらに今では、警察による家族や知人への確認調査まで行われるなど、銃の所持手続きはかなり厳格化されていますから、そのハードルはますます高くなっていると言えます」(以下、カギカッコ内は岩井氏)

 ちなみに駆除の報酬金は、例えば成獣のイノシシやシカで1頭当たり1万5000円前後(自治体により異なる)と、そこまで高額ではない。その肉も売るとなると保健所の手続きなども煩雑なため、自分が食べるのみと考えるとコストに見合わない。“狩猟離れ”が進むのも無理はない。

 だがその一方で、ハンターの仕事は、AIに奪われることのない“令和の時代に生き残る職業”とも言われ、一部では注目を集めているのだそうだ。

「狩猟生活だけで生計を立てる人は少ないですが、食品衛生資格を取得してジビエ販売を起業するケースはあります。平日はサラリーマン、休日は害獣駆除をするハンターとして地域に貢献するという人もいるんですよ」