■日本人が野球を好む理由は“間”
――今の子にとって、裸足も相撲も遠い存在ですよね。
貴乃花 現実問題として、15歳から預かって育てる。それも素直で努力ができる子を育てるのは、現在はもう不可能だと思います。だから今、学生出身の力士とか、外国人力士が多いんです。あと10年もしたら、日本相撲協会じゃなく、外国特派員相撲協会になると思います。
――先生は、少年時代に相撲を取られましたか?
養老 やりましたよ。昔は、学校に土俵がありましたから。子供の頃は、ちょうど栃若時代(栃錦と若乃花)でしたし。貴乃花さんの伯父さんに当たりますか。
貴乃花 白黒テレビで、力道山と相撲が国民的人気を誇っていたそうですね。戦後の復興期で、それが数少ない娯楽だったと。
養老 プロ野球が軌道に乗る前ですから。
貴乃花 なぜ日本人は野球が好きかというと、“間”だそうです。バッターボックスに入って、構えて打つでしょ。相撲の土俵入りと一緒なんです。だから、日本人が観戦しやすい。先生は、AIは間が取りにくいとおっしゃっていましたけど、まさに、野球の間は日本人にピッタリだったんです。
養老 それは、面白い話だ。
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白熱の対談も次回で最終回。乞う、ご期待!
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。
養老孟司(ようろう・たけし)
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学名誉教授。専攻は解剖学。2003年出版の『バカの壁』は460万部を超えるベストセラーに。