■大谷翔平が二刀流になれた「才能と環境」

──現在の武田さんからは“ボーっとしてる子”だった姿は想像できません。

「小学校高学年からずるがしこくなって、“頭がいいふり”がしたくなったんですよ。そんなときに小学校の図書館で見つけたのが、東洋と西洋の偉人100人ずつぐらいの人生が載ってる“偉人伝”。知ったかぶりの鉄っちゃんは、この分厚い本を丸ごと一冊覚えちゃった。異様な記憶力で。

 そこから今の自分へとつながっていくんだけど、自分の知りたいこととか興味を持ったことに関してはもの凄くよく調べました。ある意味それが私の才能であり、そういう性格に生まれついたんでしょうね。ところがこれが学校の成績と何にも関係ないっていう」

──興味のあることに関しては異様なほどの記憶力を発揮するのが、子どもの頃からの武田さんの才能であり特性だったんですね。

「たぶん人間の特性というのは努力で決定するものじゃなくて、自分の中にある才能とか遺伝的な形質が環境の中で結びついたときに、もの凄い能力として発揮されるものなんじゃないのかなあ。それは教育格差がどうこうではなくて、自分の才能を活かせる環境に出合うかどうかが決め手になると思うんですよ。それが私の場合は、偉人たちの足跡が書いてる本だった」

──つまり自分の能力を活かせる環境に出合うと、その人の持っている才能は花開くということですね。

「分かりやすく言うと、ドジャースの大谷翔平選手。あれは努力だけでできるものじゃないよね。テレビ番組の特集で見たんだけど、プロ入りのときにスカウトが彼のもとを訪ねていって“打者か投手か、どっちかを突き詰めれば凄い選手になれるから、どちらか選べ”って言われたそうです。

 ところが彼は、頑固に“両方やりたい”って聞かない。親御さんも、その異様さに気がついて“両方やらせて欲しい”って頼む。それを引き受けた日本ハムのスタッフたちが、この一途で不思議な少年を育てて、あの二刀流の大谷翔平が誕生したんですね」