■「祭り」に代わる「行列」
そんな若者たちが新たな"祭り"として選んだのが、自分の意思で“行列に並ぶ”ことや、“SNSに投稿する”といった行為だったと、杉山氏は言う。
「話題の物に対して、列に並んだりSNSにアップしていることが“祭りに参加している”という認識に結びつくんです。周りとコミュニケーションを取りながらする“推し活”も同様の意味合いがあると思われます」
行列を作る若者たちも、やはり日本人の遺伝子を引き継いでいるということだ。
ちなみに、行列ができる原因に例外も存在する。その一つが『二郎系ラーメン』のような飲食店の列だ。
「こちらは“ドーパミンのサイクル”で、食べた後の達成感にハマって並んでしまうんです。特に塩分と油摂取でドーパミンは1.5倍以上に跳ね上がると判明しており、脂、塩分、炭水化物が豊富な 『二郎』は、生存本能を一気に満たしていると考えられます」
元来、ホモサピエンスはミネラルやカロリーを求めて彷徨い、進化してきた生物。全てを“マシマシ”にした二郎系ラーメンに依存してしまうのは、日本人ということのみならず、人間特有の習性と言えるのだそうだ。
村の祭りの要素は飲み会文化に引き継がれ、そして「もっちゅりん」や「フェルメール展」へと変遷。つまり、行列の正体は“日本人特有の遺伝子”だったということか。
「村も稲作の必要性もなくなった現在も“不安を解消するために祭りをする”という意識があったり、飽食の時代になった今でもカロリーを求めるホルモン代謝システムが時代に追い付いていなかったり。時代が変遷しても、日本人としての遺伝子はどこかで表れているんです」
突き動かされるように並んでしまう“行列”には、先祖代々、受け継がれた“何か”があるのかもしれない。
杉山 崇(すぎやま・たかし)
心理学者。臨床心理士。神奈川大学人間科学部・大学院人間科学研究科教授。就職支援部部長。日本心理療法統合学会理事。
子育て支援、障害児教育、犯罪者矯正、職場のメンタルヘルスなど、さまざまな心理系の職域を経験。心理学と脳科学を融合した次世代型の心理療法を目指す。心理療法家としても科学的心理学研究者としても、国から指導者レベルの評価を受けている心理学者。2児の子育て中。著書に『ウルトラ不倫学』(主婦の友社)、『読むだけで人づきあいが上手くなる。』(サンマーク出版)、『「どうせうまくいかない」が「なんだかうまくいきそう」に変わる本』(永岡書店)、『心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと』(主婦の友社)、『精神科医が教えない「プチ強迫性障害」という「幸せ」』(双葉社)など。