■予約チケットだけで数千円になる店も

 そんな予約制ラーメン店の躍進を業界内で象徴するような店舗が2026年6月にもオープンした。レストランガイド本の『ミシュランガイド』で高品質な料理を安価で提供するとしてビブグルマンに選ばれた『Ramen Break Beats』。こちらの4号店として登場した『Tsukemen Back to Back 』がオープンと同時にファストパス制を導入したのだ。

※画像提供/藤野弘行氏

「同店ではスマホで入店優先チケットを購入できる『SuiSui(スイスイ)』を導入。お客さんはお店の前に設置されたQRコードをスマホで読み込むとチケットの購入ができるのです。さらにチケットの価格は固定ではなく、行列の長さや混雑状況に応じて変動する仕組みになっている。需要と供給によって価格が変動するダイナミックプライシングとなっています」(藤野氏)

 お昼どきの混雑時にはこのチケット価格だけで数千円になることもあるというから驚きだ。

「予約システムはインバウンド観光客の増加に後押しされる形で、2000年前後から急速に浸透。人気ラーメン店も、お客さんを待たせなくてよくなり、行列のオペレーション対応の削減、さらには来店者数が確認できることから、食材の過不足を抑えた効率的な在庫管理にも活用できるようになったのです」(前同)

 一方で、予約システムの導入による“弊害”も指摘されているという。

「ラーメン店にとっていちばん大事なのは生活圏がお店の近くの人にリピーターとなってもらうことです。しかし、予約システムを入れると、人気店では地元の人がなかなか行けなくなる。そうした問題が発生しています。こうした課題を解決すべく、予約可能な席を全体の一部にするなど工夫するお店も出てきています」(前出の藤野氏)

 事実、東銀座に店舗がある『銀座八五』では午前中は並び順、午後は予約制、また赤坂の『Ramen 翡翠』でも予約制と当日来店、双方のやり方で来店客を迎えている。

※撮影/編集部 『ラーメン翡翠』のずわい蟹とアスパラソバージュの塩バターラーメン(2900円・税込み)

「もう一つの課題は、予約はネット上で行うことになるので、スマホアプリやPCでの操作が苦手というお客さんは置き去りになってしまうこと。また予約時点で料金が発生するので急なキャンセルも受け付けてもらえないなど、いくつかの問題もあります」(前同)