■記憶はすごく脆弱

 正直に白状しますね。

 なんと私、「左へ寄れ」と合図した、あの工事現場の交通誘導員にだんだんと腹が立ってきたんですよね。そうなるともう、歯止めが利きません。あの交通誘導員が私を擦らせるために左に寄れと合図したように記憶が出来上がっていくんですよ!

 八つ当たりもいいところ。

 交通誘導のおじさんも逆恨みされて、いい迷惑ですよ。

 これが、「過去の出来事やネガティブな思考について繰り返し考え込み、頭の中で堂々巡りしてしまう」思考ですよね。

 今回の参考図書にもありますが、記憶ってものすごく脆弱なんですって。

 言葉の使い方次第で、事実がどんどん歪んでしまうんだそうです。自分の運転のせいで擦ったくせに、「左に寄れと合図したあの誘導員のせいだ」と、怒りのベクトルが相手に向かってしまう恐ろしさ。

 私自身が体験しましたが、こういうことがあるからこそ、ネガティブな言葉遣いで出来事を反すうすることの危険さを知っておく必要がある。

 

  どんな表現を使って反すうするかということも大きく影響します。ネガティブな言葉で反すうすればするほど、出来事は自分にとってネガティブ形で強化され、ますます「うまくできなかった」と感じやすくなります。ですから、ネガティブな言葉で考えないということで、嫌な記憶の影響を手放すことができます(堀田秀吾. 『考えてはいけないことリスト』. フォレスト出版, 2025=以下同)

 

 皆さんも、このことをしっかり覚えておきましょう。

 では、この“反すう思考”にハマらないようにするには具体的に、どうしたらいいのか。誰にでも悩み事の1つや2つ、ありますよね。

 同じ悩みや不安がグルグルグルグル頭の中で回り始めたら、とにかく深呼吸。

 そして使っている言葉が誰かを非難する、敵に向かって叫ぶような言葉になっていないか、チェックしてみること。

 次に、そのグルグル考えている悩み事は「今日中に考えるべきことなのか」、あるいは「明日でもいいことなのか」をチョイスする。

 こうして、いったん自分を客観的に見ることで反すう思考から逃れることができます。

 そして小さなことでもいいから、「この悩み事のあと、次は何をしようか」と次の目標を持つこと。そうすることで、その悩みや不安からゆっくり離れることができるようになるんですね。