■高齢者に効果的な2つの「自己調整」
ここで、特に高齢者の方に語りかけたいのが、加齢とともにやり直しの能力が落ちていくということ。高齢者ほど、やり直しが難しくなって「ああすればよかった」と後悔の念が強い人ほど、うつ症状が出たり、健康に問題をきたすそうです。
では、どうすれば後悔の苦しみを和らげることができるのか。本書には、特に高齢者に効果的な2つの「自己調整」を提案しております。
1つ目は「後悔を引きずらず、あきらめる(手放す)」こと。
2つ目は「新たな目的や目標を持つ」こと。
やり直しがだんだんきかなくなったなら後悔を捨てて、目的や目標、向かう方向そのものを変えてしまえばいい。
私は著者の、この提案に思わずハッとしました。
これは最近、私に起きたばかりのことですが、ゴルフのティーグランドを前にしたときのこと。
私も必死になって練習して、今まで若いスタッフと白ティー(一般男性がティーショットを打つ位置)で張り合ってきたんだけど、飛ばすんだ、彼らが。
私もだんだん、やり直しのきかない体になってきましてね。ふと、ある日のこと、77歳の喜寿を迎えたのを機に「前に出てみようかな」と思って、白ティーからシルバーティーに位置を変えたんですよ。そうしたらね、ちょっと悔しいけど、新たな目標ができたわけです。
何せドライバーが飛ばないから、白ティーでやってるときはフェアウェイバンカーなんて、まったく気にならないのよ。届くわけがないから。でも、それよりも近い、シルバーのところから打つとね、“入るかもしれない”んだ。その不安が次の目標になりうるんですよね。バンカーに入れたくないぞ、と。これが新たなモチベーションにつながるんだ。
まさしく、これが「やり直しの力が落ちてきたら、新しい目標を目指す」ということだと思うんだな。
後悔や不安というものは誰しもに必ず付きまといます。それはもう回転寿司みたいなもので、後悔と不安がベルトコンベアに乗って、どんどん目の前を走る。
では、どうしたらいいのか。とにかくベルトコンベアのスイッチを、いったん切ること。そのうえで、考えすぎないこと。
ゴルフでいえば、いつまでも白ティーから飛ばしていた頃の過去の自分にしがみつかず、ティーグランドを前に出すこと。そうすることで新たな世界が見えてくるようになるんですね。心配するより前に、力いっぱい、クラブを振ろう。