■俳優同士では“特撮俳優”というのは意識しない?

――過酷な現場を、丸1年ですからね。

松田  それに、まーくん(井上)も言っていましたが、世界中の目にさらされているわけですよ。撮影当初にその自覚があるかは別として、撮った後もずっと世界中の人から手紙が届いたりするわけじゃないですか。そういうのが、自分の精神をすごく鍛えてくれますよね。次の作品に向かう姿勢を変えてくれるというか、正してくれるというか。だから、活躍する人が多いのは必然だと思います。

――実際に共演して魅力を感じた俳優はいますか?

井上  うーん、松田さんもそうですけど、『仮面ライダー』に関係なくいい方だな、すごい方だな、と思いますね。

松田  特撮俳優というのは、俳優同士だとあまり考えないかもしれないですね。それはどちらかというと視聴者目線で、出ている側はそういうことはあまり考えないかもしれないですね。

井上  “あ、一緒に出ていたんですね”とか“あなたも東映に通っていたんですね”みたいな仲間意識は生まれますけどね。

――特撮出身だとアクションができる、と思われてしまうことがあるとか。

松田  それでえらい目に遭いましたね。『龍騎』の後に、何年もアクションの仕事が続いて……結果的にアクションもできるようになったからよかったですけど(笑)。

――『龍騎』は設定的に生身で怪物と戦うアクションシーンがほとんどありませんでしたからね。

井上  僕は、活躍できるかどうかのさじ加減は人によって違うと思っていて。5年くらい前までは、活躍の定義が“テレビに出ていること”な部分がありましたけど、僕はそれがすべてじゃないと思っていて。きっとテレビに出ていることだけが活躍って概念が、全く変わっていくと思います。

 その時に、個人個人が何をして、どんな活動をして、俳優として何をしているかが、非常に大事だと思います。

松田  僕も、そこはめちゃ同感ですね。

今後の業界について語る井上さん 撮影:ピンズバNEWS編集部