■今後は“個人力”が俳優業に限らず重要視されてくる

井上  僕は、そういう熱い人間だけが、この俳優という職業を続けられて、持ってない人は辞めざるを得ないような、そんな厳しい世の中に向こう10年でなるんじゃないかな、と思います。

 たとえば、昔はCMを作る場合は制作会社も限られていましたけど、今や自社で作れちゃうんですよ。僕だって、自分の会社でドラマが作れた。もっと大きな会社だったら、もっと予算も多くて豪華なのが作れちゃう。

 スポンサーも、自分でスポンサーをしちゃえばいいわけですよ。化粧品会社だったら、自社に関する作品を作ればいい。そうなると、俳優じゃなくて、自社から広告担当をキャスティングしてもいい。もう俳優である必要が無いんですよ。

――そうなっちゃいますね。

井上  外の俳優を使うのは、“その俳優を起用することで、どれだけの人たちが観てくれるのか?” の影響力しか見てないんですよ。作品のことを考えると、自社で鍛えてその人に定期的に出てもらうのもアリじゃないですか。

 つまり、いまや俳優という職業は、いやアーティストやライターさんなど、ジャンルに限らず、ふるいにかけられている。今後10年で活躍する人は、本当にすごいと思います。今までは事務所やテレビ、プロモーションがすごい部分がありました。もちろん個人がすごい人もいるかもしれないですけど、今後は“個人力”ですよね。

――“個人力”。非常に深いお話をありがとうございます。最後に、『仮面ライダー』ファンはアツいと思います。それぞれ印象深いファンに関するエピソードを教えてください。

井上 もちろん日本のファンが応援してくれるのは嬉しいですけど、海外のファンは熱量がヤバいですよ! ふだん会えない人が来るわけですから、もう半端ない。

松田  もう泣き崩れてますよね。

井上  『変身ベルト』のおもちゃとか、海外だとあまり買えないじゃないですか。日本で5万円くらいのベルトが、向こうだと9万円くらいするんですよ。それに物価も違うから、“日本より物価が半分で、価格が倍”だったり……。

ファンについて語る井上さん 撮影:ピンズバNEWS編集部