■阪神は抑えの経験不足が不安

 9月に入って当たりが止まっていた森下翔太(26)も、ようやく復調傾向とあって一安心だろう。

 その森下との一騎討ちになっている本塁打王争いにさえ打ち勝てば、主砲・佐藤輝明(27)の三冠王もすでに、ほぼ確実な情勢。

 昨季のリーグVを支えた石井大智(29)が、アキレス腱断裂の大ケガから戦列復帰したことも、これ以上ない朗報だろう。

「石井も牧に一発を浴びるなど、まだ本調子とは言い難い」。これまでは1軍と2軍を行き来するばかりで、あまり機会に恵まれていなかった岡留英貴(26)あたりが、そこにハマってくれると中継ぎにも、さらに厚みが出ると思うけどね」

 そう話す藪氏は、OBとしてのひいき目を抜きにしても「勝ち抜けるのは総合力の差で阪神」と見る。

 15勝を挙げて最多勝と最高勝率の二冠が、すでに確定的な髙橋遥人(30)と、その髙橋と最優秀防御率を争う村上頌樹(28)の2枚看板は、ともに防御率1点台と文句のつけようがない。

 昨季、最優秀防御率を獲得の才木浩人(27)も、球団史上初の3年連続1点台こそ成らなかったものの、依然、2点台前半と、さすがの底力を見せつける。

「総力戦に持ち込めば、圧倒的に阪神に分がある。十中八九、メジャーに行く佐藤にしても、すべてを出し切るつもりでやるでしょう。

 欲を言うなら、後ろを任される工藤泰成(24)が、もっと早い段階で一度やられておけば、さらに盤石になっていた気はします。抑えの本当の勝負は、一度やられてからだしね」(前同)

 大本命の阪神が、このままCSも逃げ切るのか、それとも、巨人がミラクルを起こすのか……。

 この両雄に、十八番の「下剋上」機運が高まるDeNAを加えた三つ巴から、いよいよ目が離せない!

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。

秦真司(はた・しんじ)
1962年7月29日生まれ。徳島県鳴門市出身。鳴門高等学校から法政大学に進学。84年、大学4年生のときに日本代表としてロサンゼルスオリンピックに出場し、金メダルを獲得。翌年ヤクルトスワローズに入団し、88年に正捕手の座を掴んだ。古田敦也選手の入団後は外野手に転向し、勝負強い打撃でチームに貢献。ヤクルトスワローズが6年間で4度の日本一(92~97年)に輝いた黄金時代に選手会長を務めるなど(93年)中心選手として活躍した。その後、日本ハムと千葉ロッテを経て、引退後は千葉ロッテの打撃コーチや中日ドラゴンズのコーチも務めた。2008年には独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサス監督に就任。読売ジャイアンツでは、一軍と三軍でバッテリーコーチを経験している。