■「三世代の人間がジャニー氏からの性被害を告白している」意味

 所属するタレントの多くが、地上波テレビのドラマに出演していたり、大手出版社が刊行する雑誌の表紙を飾るジャニーズ事務所。メディア企業への影響力が強いのは冒頭の会合後の2人の会見からもうかがい知れる。

「マスメディアが取り上げられなかった問題をネット社会ということで、著名人の方が取り上げてくれたり、様々な方がコメントしてくれたことで広まった。先日、藤島ジュリー景子社長が顔出しで謝罪をしたことも大きな一歩」(カウアン氏)

 また、橋田氏も、

「僕とカウアンさんは面識がないですし、世代も違う。その中で(もう一人の告発者である)二本樹顕理さん(39)も含めて、三世代の人間がジャニー氏からの性被害を告白している」
 
 と、複数の告発者からの被害報告があることからジャニー氏の性加害に常習性がある旨を強調した上で、

「海外メディアも、こうした形でないとここまでの発展はなかったと思う」
 
 と語っている。裏を返せば、この問題がまだまだ既存メディアの報道によって大きく扱われていないということか。

 民放キー局の社員が語る。

「ジャニーズ事務所の所属タレントは現在、情報番組や報道番組でキャスターも務めている。日本テレビ『news zero』(月曜~木曜・23時~・金曜23時30分~)にも出演する櫻井翔さんは、周囲で同じような被害にあっているタレントがいる可能性もあるわけで、この問題に言及するのは二次被害の観点からも難しい。

 野党第一党である立憲民主党の会合にカウアンさんと橋田さんが呼ばれ、性加害の実態を告発したので新聞やテレビの報道番組はジャニー氏の性加害問題を扱い始めましたが、ジャニーズグループのカレンダーを製作する大手出版社は軒並みこの問題をスルー。ジャニーズ事務所のメディア企業への影響力を浮き彫りにした形です」

 この問題を受け、立憲民主党は今後、現在は保護者にしか適用されない児童虐待防止法の改正に着手するという。国政の場で明かされた被害者たちの“過去の事実”。日本芸能界ナンバーワンプロダクションの創業者による性加害問題は、より大きな形で広がりを見せようとしている――。