一気に騒がしくなってきたジャニー喜多川氏(享年87)の性加害問題だが、“何を今さら”とばかりに気を吐くのは『週刊文春』(文藝春秋)。そして“トレンド”のネタがあれば、競合誌は追随するのが業界の常だが、それでもこの話題を“スルー”しているのが『文春』の永遠のライバル『週刊新潮』(新潮社)なのだ。
「5月14日夜にジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子氏が謝罪動画と文書を出しました。さらに17日にはNHKの『クローズアップ現代』でジャニー氏の性加害の特集が組まれた。そして翌日発売の『文春』は再び大特集を組んでいるんですが、同日発売の『新潮』は、こんなホットなタイミングでも、ワイド記事などですら触れていないんですよね。『新潮』は香川照之さん(57)のセクハラ事件をスクープし、追及を続けた“戦う週刊誌”なんですが……やはり“違和感”を感じてしまいますよね。
地上波テレビ局がこの問題をスルーし続けてきたことに対して、その報道姿勢を問題視する声が上がっていますが、それは出版業界でも、と言えそうですね……」(夕刊紙デスク)
夕刊紙デスクは続ける。
「元をたどれば、ジャニー氏が事務所の所属タレントたちに加害をしている“疑惑”は、すでに1960年代、『週刊サンケイ』(産経新聞出版局)や『女性自身』(光文社)が、少年からの証言として伝えています」
その頃、1931年生まれのジャニー氏は30代。ジャニー氏の“癖”が世に大きく知られることになるのが、さらに進んだ80年代。先の夕刊紙デスクが続ける。
「80年代になると、『週刊現代』(講談社)が同様の話を紹介したほか、“忖度なし”の特集で人気を博した『噂の真相』では、“合宿所”の写真掲載に踏みきりました。
最も反響があったのが、1988年、北公次氏(享年63)が書いた『光GENJIへ・元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』(データハウス)です」
生々しい実態を記した本書は一大騒動を巻き起こし、ネットがない時代だったにもかかわらず、ジャニー氏の加害問題は広く認知された。当時を知る週刊誌記者がいう。
「光GENJIは前年にデビューし、人気絶頂にのぼりつめている最中の出版だったので、相当なインパクトがありました。週刊誌もこぞって“証言”を取り上げたものです」