■柏木が「いずれ去ってゆく人なんだろうな」と思った理由
「柏木との恋愛が描かれた航空学校編自体が、『舞いあがれ!』の本編から完全に浮いていて、別のパートのようだったんですよね。恋愛描写もかなりベタで、高飛車で最初の印象は最悪だった柏木と、部屋で訓練しているときにうっかり手を握って"あっ”となるとか、机の下に潜って腕をつかまれるなど、恐怖とセットのボディタッチ描写が多かった。
舞が親元を離れて若者だけの世界に行き、教官を目の敵にしたり学生同士でギスギスしたりしていましたが、“パイロットになる”という夢を目指して勉強する意義が航空学校編にはありました。誰もが多かれ少なかれ経験する、“自分たちしかこの世界にいない”と思う“若気の至り”の時期が描かれていたのではないでしょうか。
また、幼いころの繊細な”舞ちゃん”と航空学校編での”舞ちゃん”が別人に見えるくらいの変化は、脚本がメインライターの桑原亮子さんから嶋田うれ葉さんと佃良太さんに交代したため、制作側も意識的に航空学校編の雰囲気をガラリと変えたとお話されていました。ただ、舞という人間のベースと柏木の空気感があまりに異なるので、“いずれ去ってゆく人なんだろうな”と思いながら見ていました」(田幸和歌子氏=以下同)
舞と柏木は破局してしまったが、舞自身の恋愛は今後どうなるかまだわからない。これまで朝ドラで描かれてきたヒロインたちの恋愛のセオリーから『舞いあがれ!』の展開はどう予想されるのだろうか。