■“結末を決めない脚本”は上手くいくのか?
「フジテレビは昨年10月クールに新人脚本家の生方美久さんを起用した『silent』が大成功したので、その影響もあるでしょうね。
新しい風を吹かせるためにも、若い脚本家を率先して使うのは良い事です。一方で『真夏のシンデレラ』が、吉と出るか凶と出るか非常にチャレンジングなのが、“物語の結末を決めていない”という制作方針です。
韓国ドラマでは視聴者からの反応によって、最初の企画段階の設定から、話の展開やキャラの扱いを大きく変えることはよくありますが、日本の1クールのドラマでは、珍しいですよね」(前出の制作会社関係者)
7月2日に行なわれた『真夏のシンデレラ』の制作発表会見では、「出演者同士の空気感や視聴者の反応を反映しながら結末を決める」というプロデューサーの意向により、まだ結末が決まっていないことが司会の永島優美フジテレビアナウンサー(31)により発表されている。
「決めてないことってあるんだって。私たちのお芝居や見ている方のつぶやきによって結末が変わるんだ」
と、主演の森はコメントしていた。
ちなみに、日本では『スーパー戦隊シリーズ』や『仮面ライダー』(テレビ朝日系)などは、結末を決めないで脚本を書く方針を採用している。これは、1年間という長期撮影の作品であることに加え、役者の演技力およびスケジュールの厳しさ、ロケ地の確保、予期せぬ追加のおもちゃ販促などなど、一般ドラマの常識とは大いに異なる環境であることも影響していると言われている。
「ライダーと戦隊の場合、その弊害で意味深な伏線が意味深なままで終わったり、明らかに矛盾する描写もありますね。『真夏のシンデレラ』の場合は8人の男女を描いていく必要があるので、臨機応変に脚本を変えながら全員の魅力が引き出せるのかが、カギとなりそうです。
ちなみに、是枝裕和監督(61)の映画『怪物』で、先の第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で脚本賞を受賞した脚本家の坂元裕二氏(56)は、キャラクターの設定だけ固めてから、結末を決めないで書き進めるタイプとして有名です。坂元さんは国外でも非常に評価が高く、海外リメイクされたドラマも多いですね」(前出の制作会社関係者)