■脚本を超える演技が見られるか?

 空豆と音は、冒頭でぶつかった時にイヤフォンが入れ替わり、お互いに好きなアーティストが分かるところから始まり、噴水の池、レストラン、橋の上、音の下宿先での再会と、偶然の乱発。また、飛び降りと勘違いして、そこから相手の事情を知ることになるという流れは、既視感があるにもほどがあるだろう。

 視聴者の声にもあったが、北川悦吏子の脚本の古くささは、18年放送のNHK朝ドラ『半分、青い。』や21年放送の『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)のころから指摘されていたこと。それでも、広瀬と永瀬の頑張りのおかげで、視聴率、見逃し配信「Tver」のランキングともに好調だ。

 飛び道具のような強引な展開も多く、後半にかけ、物語の整合性崩れることも多い北川脚本。そんな難ありの脚本を、俳優陣の力と「映画っぽい質感でいい感じ」と評判の撮影スタッフの技術、King & Princeの新曲『Life goes on』に合わせて広瀬と永瀬が踊る、“逃げ恥ダンス”の令和版のようなエンディングの話題性などで、どれだけカバーできるかが今後の鍵となりそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)