今年の夏ドラマの話題をすべてさらったTBS日曜劇場『VIVANT』で、テロ組織「テント」のナンバー2・ノコル役を演じている二宮和也(40)。初回放送時にサプライズ登場し、後半にかけ中心人物としてその存在感を高めている。
二宮はジャニーズきっての演技派として知られ、数々の難役に挑んできた。とりわけ大きく俳優としての名声を轟かせたのは、映画『硫黄島からの手紙』(2006年・クリント・イーストウッド監督)だろう。
ジャニーズ初のハリウッドデビューで、本土防衛の最終砦・硫黄島守備隊に所属する兵士役を演じた本作。およそ“兵士”のイメージに相応しくないような不貞腐れっぷりや怯え、仲間の死への涙、米兵への怒りなど、当時の若者の心情を等身大で演じる姿が評判を呼んだ。
その後、『母と暮せば』(15年、山田洋次監督)で第39回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(22年、瀬々敬久監督)ではシベリアの強制収容所を舞台に、絶望的な状況下でも生きる希望を捨てず、力強い信念を持ち続けた男を演じ切った。
気負わない、あくまでも“自然体”が二宮の持ち味だ。やり場のない思いを内包しつつ目の前にいる人に寄り添い、周囲と対峙する立ち位置を得意とする。その演技は繊細で、もはや演技と思わせないのが二宮の力とも言える。