「飲みに行きたいけど、車で来てしまったなあ……」そんなときに重宝するのが自動車運転代行だろう。しかし、そんな便利なサービスでこれまで、さまざまなトラブルが起きていたという。
「運転代行 合同会社」が、サービスの質や料金だけでなく、料金の自動計算の有無、現在地の表示など、様々な情報を盛り込んだ、運転代行ポータルサイト「運転代行おすすめガイド」を10月1日にオープン。ポータルサイトとは数多の情報を掲載する情報サイトのことを指す。開発の背景には、利用者と業者のすれ違いがあった。
自動車運転代行業は、飲酒や体調不良などのため、自分で車を運転できなくなった人の代わりに運転を代行するサービス。しかし、代行業者の乱暴な運転による交通事故の発生、損害賠償保険の未加入、不正請求等、さまざまな問題が指摘されてきた。
そこで業務の適正化、交通の安全、利用者の保護を図り、2002年6月より『自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律』(運転代行業法)が施行。その後、飲酒運転が社会問題化したこともあり、認定業者数は増加の一途を辿ってきた。
「警察庁のデータでは、全国の認定業者数は02年の4148からピークの16年には8916と倍以上に膨らんでいます。その後、数字は落ち着き、コロナの影響もあって21年には8106にまで数を減らしていますが、ここにきてニーズに対して供給が追いつかないケースが出てきている。
そのうえ多くは個人で細々とやっている業態で、タクシーのように公的な料金ルールはなく価格競争が激しい。トラブルもなくならず、運転代行業者選びが難しいのは事実です」(交通系ライター)
少し古いデータになるが、警察庁と国土交通省は運転代行業法施行後10年の2012年3月、「自動車運転代行業の実態調査の結果」(調査期間:11年10月1日~10月31日、一部の府県7月1日~7月31日)を発表。それによれば、運転代行の利用経験がある一般ドライバー1613人のうち、5.5%の人がサービス利用の際にトラブルに遭ったと回答している。
これは前回調査(07年)の7.2%よりはやや減ったものの、トラブル内容のトップは「乱暴な運転」38.2%(35.5%、前年。以下同)。以下「態度が悪かった」36.0%(39.7%)、「長時間待たされた」22.5%(24.8%)、「交通事故を起こされた」19.1%(14.9%)、「説明もなく高い料金を支払わされた」15.7%(16.5%)と続く。