■『ブギウギ』がデビュー作!“驚異の新人”黒崎煌代

 11月28日の42話では出征した六郎から《お父ちゃん、姉やん、亀は元気ですか? 餌は食うてますか? たまにはミミズも食わせたってください。喜びます。それと、毎日おひいさんに当てたってください。よう寝ます》と亀の心配ばかりする手紙が届いた。

「自分のことは《ワイは毎日頑張っています》ぐらいで、以前の手紙よりも字が乱れていました。六郎が戦地で壮絶な体験をしていることが垣間見えましたし、戦死するまでの伏線にも思える内容でしたよね……。

 黒崎さんの演技は、あまりにも自然で本当に六郎にしか見えない。だからこそ六郎の死は視聴者の涙を誘うのでしょう。『ブギウギ』がドラマデビュー作とは思えない演技力ですよね」(前出のテレビ誌編集者)

 12月2日配信の『Yahoo!ニュース』のインタビューに対し、黒崎は《六郎をアホだと思って演じてはいません。過度なピュアさが周りから見たらちょっと変で、アホっぽく映るんだろうなと思っていました。ピュアさに集中することで、そこから滲み出るアホさを楽しんでもらえたらと》と役作りについて明かしている。

 視聴者からは「天才」という評価の声も上がる新人俳優・黒崎は同インタビューで、幼少期から数多くの洋画を観てきたことを話しており、そこでの学びがデビュードラマでの見事な演技につながっていることを感じさせる。そして、六郎については《六郎は黒崎のできるかわいさの最大級だと思っています(笑)。あれ以上かわいくはできません》とも語っている。

 ピュアで、何事にも一生懸命で、“最大級にかわいい”――そんな六郎の死だからこそ、悲しすぎるのだ。

■涙なしでは見られない母・ツヤと六郎の抱擁シーン

 六郎には、これまでも視聴者の涙を誘うシーンがたびたびあった。

 11月21日の37話では、出征の日が迫り、六郎は頭を丸め恥ずかしそうにしている。以前から体調を崩していた水川あさみ(40)演じる母・ツヤは専門の医師の診察を受けることとなった。診察を受けたツヤはもう自分が助からないことを悟り、父・梅吉に、このことをスズ子と六郎には言わないようにと伝える。

 ツヤの病状をまだ知らない六郎は、落ち込む梅吉の前でふざけてはしゃいでしまい、梅吉と仲違いしてしまう。その後、梅吉は六郎に謝罪し、六郎は事態を飲み込むことに。

※画像は『ブギウギ』の公式X(ツイッター)『@asadora_bk_nhk』より

 出征前夜。六郎は寝ているツヤの横で思い切り母に甘える。ツヤは「みんなアンタみたいに素直な正直な人間になりたいと思うてんねんで」と語りかけ、六郎は「長生きせなあかんで。ワイ、敵をぎょうさんやっつけて、勲章ぎょうさんもらってくるで。そしたらお母ちゃんの病気なんぞすぐ治るわ」と話す。

 するとツヤは体を起こし、咳込んでから「いつの間にか頼もしなったなあ。髭も濃おなったし、男の子や。元気でおるんやで。野菜しっかり食べてな」と言葉をかけ、そして「お母ちゃん、あんたが帰ってくるのを、首長ご~して待ってるからな」と告げ、2人は抱き合うのだった。そのやり取りを廊下で聞いていた梅吉はなんとか涙を堪えていた――。