■コア視聴率が日曜劇場を超える勢い

 前出の制作会社関係者が話す。

「『下剋上球児』は途中まで“サスペンス要素”が不評なところがあり、思っていたほどの高視聴率は取れていませんでしたが、終盤に近づくにつれて王道の野球ドラマぽさが出ている感はあります。ただ、メインのところに行くのがちょっと遅すぎたな、とも感じられますね。『下剋上球児』の第8話のコア視聴率は3.2%でしたが、あと2回で最終回を迎える。これ以上の上がり目はなさそうです」

 一方、『セクシー田中さん』の12月3日放送の第7話のコア視聴率は3.1%。同日に放送された『下剋上球児』の第8話とわずか0.1%の僅差に肉薄しているのだ。

「『セクシー田中さん』の場合、第4話(12日放送)がコア2.8%だったのが、右肩上がりで数字が伸びています。放送の毎に注目度は上がっており、第7話の時点で超僅差。このまま行けば、『下克上球児』を追い抜いて秋ドラマのトップに立つ勢いです。『セクシー田中さん』は全10話と言われているので、残る3話の間に『下剋上球児』を上回りそうですよ」(前同)

『下剋上球児』が期待されていたほどの結果を残せていないのは、同枠の前クール作品が圧倒的なスケールで描かれた堺雅人(50)主演の『VIVANT』だった余波を受けていること、作風が視聴者が求めていた“王道の野球ドラマ”ではなかったことが大きいと考えられる。

 逆に、当初の予想以上に『セクシー田中さん』の人気が高まっている理由は何なのか。

「1つは、脚本が非常に優れていることですよね。最初こそ“ベリーダンス”という斬新なテーマや、木南さんら女性陣の“セクシー”な衣装が目を引きましたが、それだけでは終わらない。女性の生きづらさ、殻を破る難しさなど日常をリアルに描き、そのうえで男性陣も成長したりと、テンプレ的な描き方をせずに、登場人物の内面を掘り下げ、第一印象と真逆の顔も見せて、人間関係が発展していく。この匙加減が絶妙です」(テレビ誌編集者)

 秀逸な脚本に加えて、『セクシー田中さん』が好評なもう1つの理由は、朱里役の“めるる”こと生見の存在のようだ。

※画像は『セクシー田中さん』の公式X(ツイッター)『@ntv_tanakasan』より

「めるるさん演じる朱里は、序盤は“若くて可愛い女の子”だからこそ、それ以外に自分の価値を見出せずに悩むキャラでした。朱里をビジュアルが素晴らしく、若くて可愛いめるるさんが演じることで、役にこれ以上ない説得力を与えましたね。それでいて、朱里は悩むことも多いけれど勝気な性格であることから、話が暗くなり過ぎない。コミカルなシーンでのめるるさんの演技も魅力的なんです」(前同)

 朱里は感情的になる場面が多い。尊敬している田中には憧れのスターを見るような表情をする一方で、機嫌が悪いときの朱里は目が据わっている明らかにヤバい表情をしながら、

「あのジジイ(※失礼な態度をとった笙野)許せない殺す~!!」

 と、叫びながら名刺をフォークでグサグサ刺すなど、かなり振り切れている。