■すでに号泣名シーンが1つ約束されている?

 寛弘8年(1011年)惟規は赴任先の越後で病に伏し亡くなってしまうが、臨終の寸前に、

「みやこにも わびしき人の あまたあれば なほこのたびは いかむとぞおもふ(都にも、恋しい人が多くいる。この“たび”は生きて帰りたく思います)」

 と、「この旅」と「この度」をかけた句を書き、事切れる。この「おもふ」の“ふ”が書きかけだったのを、惟規の死を看取った父・為時が最後に書き加えた、というエピソードも残されている。為時を演じるのが岸谷五朗という点からも、映像化されたら間違いなく泣ける名シーンになるだろう。

 そんな惟規を演じるにあたり高杉は、

「惟規は姉の紫式部や父の為時と違い、勉学への関心はまったくありません。

 口がうまく、ひらひらとその場をしのぎながら生きていくんだな、という印象です。少し残念な印象のある惟規が、どのような生き方で過ごしていくのか、僕自身も楽しみです」

 と、コメントを寄せている。

 高杉は2024年1月クールに川栄李奈(28)の主演連続ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系/水曜午後10時~)の二番手役も控えている売れっ子俳優。大河ドラマも2012年放送の『平清盛』以来2度目。素晴らしい演技に期待したいが、注目すべきは高杉が演じる惟規が“弟”である点だ。これまで高杉は13歳で俳優デビューしたこともあり、後輩や弟などのポジションを演じる機会が多かった。

 そして、高杉が知名度を大幅に上げるキッカケになった作品の『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(テレビ朝日系/2014)でも、“弟”を演じていたのだ。

 高杉が『鎧武』で演じていたのは、3号ライダーの“呉島光実(くれしま・みつざね)/仮面ライダー龍玄”。『鎧武』のライダーは”フルーツ+各国の鎧”がモチーフになっていて、龍玄はブドウと中国の鎧を組み合わせたデザインである。

※画像は仮面ライダーのカードゲーム『ガンバレジェンズ』の公式X(ツイッター)『@DCD_GANBARIDE』より

 光実は、大企業の重役である “呉島貴虎(たかとら)/仮面ライダー斬月”(久保田悠来/42)の弟だが、良かれと思って理想を押しつけてくる兄にうんざりし、進学校に通う傍らこっそりストリートダンス集団『チーム鎧武』を心のよりどころにしている――という、思春期を体現したような高校生だった。序盤はダンスチームらしい明るい色のパーカー、中盤からは黒いビジネススーツを着こなしていた。