■10代後半~20代前半、福士が売れていたが……

 最初に名が売れたのは福士だった。『フォーゼ』終了後の翌2013年に放送されたのん(当時:能年玲奈/30)主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『あまちゃん』に、福士は主人公の高校の先輩・種市浩一役で出演。『あまちゃん』が社会現象になったこともあり、一気に知名度を上げた。

 一方の吉沢は福士に比べると大役は少なくヒット作も恵まれなかったが、2017年に小栗旬(41)主演の映画『銀魂』で沖田総悟役に抜擢。原作漫画(集英社)から抜け出たようなビジュアルと“ドS”を完璧に演じ、若い世代を中心に大ブレイクした。

※画像は『ワーナー ブラザース ジャパン』の公式X『@warnerjp』より

 さらに吉沢は2019年には広瀬すず(25)主演の朝ドラ『なつぞら』で絵描きの青年・天陽役を演じたが、あまりに儚い最期にSNSでは“天陽ロス”が勃発。主婦層にも支持されるようになり、ついに2021年にはNHK大河ドラマ青天を衝け』で主人公・渋沢栄一を好演。吉沢はCMにも引っ張りだこで、老若男女問わず名の知れた、トップクラスの俳優となった。

 そうして吉沢が遅れて脚光を浴びた一方、先に売れ始めた福士の人気に陰りが出てきた。

 2010年代後半の福士は主演ドラマや出演映画こそあるが、いずれも大ヒットまではいかない日々が続く。20代前半の時期は正統派イケメンとして恋愛ドラマなど多くの話題作に出演していたが、この時期になると勢いが失速し、吉沢と人気が逆転した感もあった。

 福士の演技力の低さを指摘する声も目立ち始めていたが、誰よりも自覚し苦悩していたのは福士自身だった。

《自分の名前だけが1人歩きして、メンタルはそれに追いついていなかった。それが20代前半まで。(中略)オーバーレイト(過大評価)されるほうが、アンダーレイト(過小評価)されるよりもきつい。その状況に悩み、苦しみました》(23年6月13日『東洋経済オンライン』)

 しかし、2020年代に入ると、福士は再び勢いを取り戻してきた。