■『どうする家康』の真の目的は「情けない家康」を描くこと?
「松本さん演じる元康が12,3歳だからしょうがないのかもしれませんが、あまりに幼児性が出すぎて視聴者がゾッとしたってことは、ある意味“成功”なのかもしれません。『どうする家康』というタイトル通り、家康が右往左往するドラマとしては成功しています。
ただ、逃げ回って“嫌じゃ嫌じゃ”という松潤をどう捉えるか……。ままごとにはドン引きしましたが、30話くらいの貫禄たっぷりの家康を見て“あの、ままごとしてた家康がなぁ”と思えるのであれば、最初はみっともない、情けない家康を描くのが命題なのかもしれませんね」
しかし、今後に期待できる点もたくさんあるようだ。第4話ではムロツヨシ(47)演じる羽柴秀吉が、第5話「瀬名奪還作戦」からは、松山ケンイチ(37)演じる本多正信、山田孝之(39)演じる忍者・服部半蔵が登場し、出演者がさらに豪華になっている。
「主演級俳優が目白押しですが、今後はやっぱりそれぞれの人物のえげつなさみたいなものが出てくるとすごくいいな、と思います。ムロツヨシさん演じる秀吉の風見鶏ぶり、媚びる感じもやりすぎかなとちょっと思いましたが、猿と呼ばれて嫌われる秀吉の適役かな、とも感じました。信長と家康のシーンでもムロツヨシが後ろのほうで写っていたり、画面のはじっこで、イヤーな感じで見守っているんですよね。
本多正信にかんしては、江戸幕府の老中になり、家康の右腕となる人。あんぽんたんで良くない家康を知恵者として支えるのが役割ですが、現状食えない男といった印象で、周りからもほらふきとか言われて嫌われている。服部半蔵も、徳川家に仕えた伊賀の忍者というのが、さらにエンタメをもたらしそう。
クセのある人物がどんどん出てくると、家康の情けなさも引き立つし、物語がふくよかになる。個人的には、艶福家、後家好きな印象がある家康の女性関係がどう描かれるのかも期待したいです!」
通常、大河は50話ほどあるが、2月12日放送の『どうする家康』はまだ第6話。視聴者を惹きつけることはできるか――。
■番組情報
大河ドラマ『どうする家康』
NHK総合 毎週日曜日よる8時~
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ieyasu/
■吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、コラムニスト、イラストレーター。『週刊新潮』(新潮社)『TVふうーん録』やNHK1.5ch『読む72時間』など連載多数。『週刊女性PRIME』や『文春オンライン』、『PRESIDENT ONLINE』などのメディアでもテレビドラマ関連の記事を執筆。著書に『くさらないイケメン図鑑』(河出書房新社)、『親の介護をしないとダメですか?』(KKベストセラーズ)など。