■「人見知り芸人」はなぜ人前に立てるのか

 人生において”損”をすることもあるという人見知り。前出の鳥谷さんが人見知り克服法を指南したこともある若林は2009年、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で“人見知り芸人”企画を敢行。当時MCの雨上がり決死隊(現在は解散)の宮迫博之(54)と蛍原徹(56)へ挨拶に行くまで廊下を何度も往復する、日頃も同じ楽屋になった他の共演者に話しかけられず、ドリンクのラベルを熟読するフリをするといったエピソードを披露し、多くの人見知りの人たちの共感を得たのだ。

 この企画で一気に注目を集めた若林。その後、人見知り芸能人の代表格として活動していくが、18年に第3弾として放送された同企画では、「人見知り卒業生」として登場。番組MCを務める機会が増えたため、克服を試みたことを明かしている。

 その背景について若林は、同年出版したエッセー『ナナメの夕暮れ』(文藝春秋)で、

《人見知りのせいで盛り上げるチャンスを逃したこともあって。さすがに何とかしないと、と思いました》

 と記している。特殊ではあるが、人見知りは”損”をすることがあるという実例だろう。

※画像は『アメトーーク!』公式X(旧ツイッター)『@ame__talk』より

「人見知りが悪いとか、絶対陽キャにならなきゃいけないとか、そんなことはありません。ただ、言葉を発しないと挨拶をしない人だと思われたり、仕事にやる気がない人だと思われたりしかねない。

 芸人さんで人見知りだと聞くと意外に思う方も多いのですが、本来の自分が“こっち側”なら、人目を気にしないで誰とでも話せる“あっち側”にいくスイッチがあるんですよね。そして、本来誰しもがそうした“あっち側”と“こっち側”を切り替えるスイッチを持っている。そのスイッチを上手に切り替えるようにするのが、人見知り克服トレーニングです」(鳥谷さん)