■血液検査でわかった、基準値を20倍以上も上回る抗体

 そこで、4回も感染したんだから「さすがに免疫があるっしょ」と自信満々のT記者に、免疫がどれほどあるのか、血液検査で抗体の量を検査してもらった。

「過去の感染、ワクチン接種によって抗体が血液にどれほどあるかという検査でした。ワクチン接種なし、感染歴なしの人が基準値50.0未満なのに対して、僕はその約23倍の数値でした。これはワクチンを1回打っている人と同等だということです」(前同)

 これだけ聞くと、T記者は心配もないように思えるが、宮元通りクリニックの度会敏之院長は、油断は禁物とこう語る。

「それだけの数値があれば免疫があると言えますが、株が変異した場合にも適用されるとは限りません」

 感染対策は必要だと新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦氏も言う。

「抗体検査はあくまで一般的な数値を示すものなので、信用しすぎないこと。夏バテなどで免疫の落ちる時期ですから手洗いうがいなどは続けてください」

 5度目の感染とならないとよいが……。

久住英二
専門は内科、血液内科、旅行医学。町医者として様々な病気の診療経験を有し、とくに感染症やワクチン、血液疾患に詳しい。

度会敏之
1946年生まれ。東大医学部卒業。竹田総合病院(福島県)内科医勤務。1997年、50歳で都内大田区に宮元通りクリニック開業、現在に至る。

岡田正彦
新潟大学名誉教授。医学博士。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業。1990年より同大学医学部教授、医学博士。米国学会誌 IEEE Transactions on Biomedical Engineering副編集長、学会誌『生体医工学』編集長などを務める。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」 受賞。専門は予防医療学、長寿科学。