■判決の日、販売会社が持ち出した「証拠」

 地裁でひっそりさんによれば、てんちむは当日、法廷に黒いスーツで現われたという。YUIKU社からの“豊胸を隠していたのは説明義務違反”だという訴えについて彼女は、「(YUIKU社から)豊胸の事実の確認を求められれば、私は素直に豊胸したと答えていました」と、意図的に隠したわけではなく、「聞かれなかったから」と主張。

 ナイトブラの開発会議の場でも、あくまでもてんちむは「バスト補正のノウハウを提供したもの」だと強調したうえで、YUIKU社が“誇大広告“を出したのではないかとあらためて訴えたという。かねてより“貧乳”コンプレックスを頻繁に口にしてきた彼女には、どのように“サイズアップに成功したか”を発信してきた過去がある。前出のWEBメディアライターが言う。

「2010年、まだ16歳の女子高生だったてんちむさんが更新していたブログでは、質問への回答として“リアルAカップ”と明かしているほか、ヌーブラをつけて胸の谷間ができたことを喜ぶなど、バストアップに並々ならぬこだわりを見せていました。

 さらに15年にはX(当時ツイッター)で、“貧乳の皆さんへ朗報“として、《Aカップ貫いてきた私ですが煮干し梅干し食べながら牛乳飲んでたら一年間くらいでDカップになりました》と劇的バストアップ法を報告し、大反響。ブログでは、煮干し生活と並行して“ナイト用ブラ、運動用ブラ、そして通常のブラ”など、下着を使い分けるテクニックやノウハウも披露していました」

 話を裁判に戻そう。てんちむの“YUIKU社が誇大広告を出したのでは”という主張に対し、YUIKU社側も譲らなかった。てんちむ自身が元々“誇大広告”を行なってきた張本人なのだという“証拠”として挙げたのが、てんちむが過去に動画でPRしていた「シンデレラアップ」というバストアップサプリの一件だった。

 傍聴した前出の地裁でひっそりさんによれば、YUIKU社側は、てんちむが同サプリを紹介した過去動画で「豊胸一切なしですからね」と述べながらテロップでも“胸が大きくなる”と表現したことがあると指摘。てんちむこそが、以前から“誇大広告”を行なってきたと主張した。

「シンデレラアップの広告塔をしていたのか」とYUIKU社側に聞かれたてんちむは、「広告塔ではなく、PR案件として受けました」と、あくまで“広告ではない”と反論した。

“広告塔”と“PR案件”の違いについて、大手広告代理店社員が説明する。

「広告は、企業が打ち出したいメッセージを強く伝えるもの。“有名人が広告塔になる”というとき、その有名人はその企業や商品の宣伝の役割を担い、直接的な販売促進を狙います。

 一方で”PR案件”は、あくまでも有名人が第三者目線でその商品やサービスのメリット・デメリットを解説するなど、客観性を重視するもの。てんちむさんが『シンデレラアップ』をPR案件として受けていたということなら、あくまでもてんちむさんはその評価・感想を述べていただけであり、商品の“顔”としての立ち位置ではなかったと言いたいのでしょう」

 しかしながら、炎上した当時のファンの反応を見ると、“てんちむがナイトブラを着用したおかげで大きくなった”と認識している者が多いのも事実。そのウラで豊胸手術を受けていたと知ってしまったら──反感を買ってしまうのも頷けよう。