■深津がなかなか作品に出ない理由とは
多忙な時期を経て、自分を見つめ直しているのかもしれない井上。一方で深津について、前出の三杉氏はこう分析する。
「まず、深津さんは有名スタイリストの方と事実婚状態と言われていますよね。そのため、私生活を大切にしながら、自分のペースで仕事をしていると考えられます。
ただやはり、深津さんを求める声は多いですよね。映画『悪人』(2010年)での演技が評価されて『日本アカデミー賞』や『モントリオール』で女優賞を獲るなど、俳優としての実力は言うまでもないですし、プロ意識もすごい。最近の作品では、『カムカム』でもそういった話がありましたよね」
深津の久しぶりの連ドラ出演となった朝ドラ『カムカム』では、現場で台本を開くことなく、自分が関係ないシーンも完全に暗記して撮影に臨んでいる、というエピソードが言われた。
「逆に言えば、やってみたい役、演じる意義のある役だけを厳選して演じる、仕事を選ぶタイプとも言えそうです。そして深津さんは、実績やキャリアを事務所にも認められていて、そういったやり方が許される環境にいるのでしょう。最近では、業務委託など自分のペースで働く俳優は珍しくありませんが、深津さんはかなり早い時期からそういった働き方をしていた、先駆け的な存在ではないでしょうか」
最後に三杉氏は「井上さんと深津さんに共通して言えることがある」と話す。
「もちろん、ずっと作品に出演し続けるというのはすごいことです。でも、メリハリをつけた方が息の長い活躍ができるものですよね。井上さんと深津さんは美しくてキュートなビジュアルだけでなく、高い演技力、そして数々の実績がありますし、役者として非常にストイックで、好感度の高さも共通して言えることです。そんな稀有なお二人は、これからもマイペースで大活躍されていくのではないでしょうか」
なかなか作品やメディアに出ずとも、視聴者の心をつかんで離さない二大女優。今後も、名作での活躍に期待したい――。
三杉武(みすぎ・たけし) 芸能評論家
早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身。豊富な人脈をいかし、芸能評論家として活動している。多くのニュースメディアで芸能を中心にしたニュース解説を行ない、また「AKB48">AKB48選抜総選挙」では“論客”とて約7年間にわたり総選挙を解説してきた。