■ドムドムハンバーガーの秋の売り上げを支える「めちゃくちゃ売れる」バーガー

 ドムドムハンバーガーにおける“ぶっとび”バーガーの歴代「売り上げベスト5」堂々の1位となったのは、『丸ごとカニバーガー』。カラッと揚がった香ばしいソフトシェルクラブを挟んだビジュアルのインパクトが世間に衝撃を与えた代表作であり、19年に初めて販売されて以降、定期的に再販されている大ヒット商品だ。

『丸ごとカニバーガー』 ※写真はドムドムフードサービス提供

 浅田氏によれば、ベスト5のうち2位以下は横並びのような状態で、『丸ごとカニバーガー』の売り上げが圧倒的に1位なのだという。

「これはもう、めちゃくちゃ売れるんです。一般的なハンバーガーチェーンは、年間を通して売り上げが高いのは春とか年末年始なんですが、うちは秋に『丸ごとカニバーガー』を販売するので、秋の売り上げが一番高いくらいなんですよ」

 他社が月見商戦にいそしむ秋、ドムドムハンバーガーは『丸ごとカニバーガー』を毎年のように販売している。

「実を言うと、1年目はヒットしたとはいえ、それほどでもありませんでした。このシーズンの商品の1.5倍くらいの売れ行きで、一番売れた店舗でも多くて1日50食くらい。それが2年目は、SNSでバズったこともあって、1日200食くらい出る店もあって。日本からソフトシェルクラブがなくなるんじゃないかというぐらいの反響でした」

 こうしてドムドムハンバーガーを代表する大ヒット作となった『丸ごとカニバーガー』だが、世に出すまでにもっとも苦労したのもこの商品だという。

「社内では賛否両論というか、否のほうが多い状態でした。最初はちょっとした思い付きで始まり、当時の役員も軽い感じで了承してくれたんですが、いざレシピなんかをちゃんと用意して正式に提案したら『本気でこんなもの売るつもりか』といった感じの反応で、話が止まってしまって。ソフトシェルクラブが高いので売価も上がりますし(※19年の発売当時で税込み990円)、見た目もすごいし、揚げ用の粉も独自ブレンド。店舗での調理負担もありますし、こんなの本当にできるのか?……と。半年ぐらいかけて何度も何度もトライして、ようやく実現したんです」

 発売されたばかりの『春菊かき揚げバーガー』にも、こうした開発スピリッツが込められている。ドムドムハンバーガーは次はどんな商品で我々を驚かせ、楽しませてくれるだろうか?