■『フルーツポンチ』亘健太郎氏の特別インタビュー
テレビや劇場で活躍するお笑いコンビ『フルーツポンチ』の亘健太郎氏が、芸人と現場仕事の二足のわらじをはくことになったきっかけは何だったのか? ご本人にじっくり聞いてみた。
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日本でコロナウイルスが感染拡大し、緊急事態宣言が出された2020年春以降、仕事がパタリと止まってしまいました。過去、マックスで手取り180万円あった月給がコロナ禍のドン底時は8万円まで落ち込みました。これも本来、出るはずだった劇場のギャラ補償だったので事実上、ゼロ円に近かった。僕には妻と子供が2人いるので、“これは本当にマズいぞ”と思い始めました。
6月頃、そんな話を千葉で工務店を営む知り合いの社長にしたら、“ちょっと手伝ってみる?”と誘ってくれて。そこから、社長宅の敷地内にある空き家に多いときで週6日、住み込んで働く生活が始まりました。
社長の工務店は元請けなので、必要に応じて大工や電気工事の職人を呼んで建物を造ります。現場では解体作業や棚や下駄箱など、室内のちょっとした造作を作るといった、職人を呼ぶほどではない作業がある。最初にやったのは、そうした作業の手伝いでした。
僕は工業高校出身で自衛隊も経験しているので、道具を使ううえでの苦労もなく、体を動かして働くのは楽しかったです。むしろ困惑したのは、専門用語ですね。“下がり壁を××して”と言われて“え? サガリカベ?”みたいな(笑)。
仕事をするうちに、現場でちょっとした配線や照明の工事を自分でできたらいいなと思って、第二種電気工事士の資格を取りました。社長を驚かせたくて、参考書を買ってユーチューブで実技の勉強をしつつ、現場で出た廃材で練習しました。そんなに難しい試験ではないので一発で合格して、現場で社長に免状を見せたら、“え~、いつの間に取ったの!?”と、すごく喜んでくれましたね。
日給は最初から手取りで1万3000円ほどいただいています。最近は別で知り合った方に仕事を依頼され、他の現場に行く機会も増え、少し日給も上がりました。今は建築の仕事で毎月、手取り30万円くらい稼いでいます。家族がいるので、この収入は本当にありがたいですよ。
コロナ以降、休みが怖いんです。現場は入れば入るだけ給料をもらえるので、今も休みがあると、どこかで不安を感じます。ただ、やっぱり僕にとってはお笑いが本業で、建設の仕事は副業。副業を始めたことで、人に笑ってもらえる嬉しさ、お笑いへの感謝の気持ちが強くなりました。今後は建築を含めた全部の経験を生かして、お笑いの仕事につなげていきたいですね。
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【前編】アメリカで始まった“ガテン系”給与革命は日本にも波及、タクシー運転手で年収1000万 ブルーカラービリオネア時代では、手取りが月100万円超えも夢じゃないタクシードライバーの勤務実態や稼げる裏ワザ、タクシーに乗りながらグラビアアイドルとして活躍する女性のエピソードなども詳報している。《【前編】はこちらから》
亘健太郎(わたり・けんたろう)
1980年7月12日、神奈川県出身。航空自衛官を経て、NSC東京校に入学。2005年、村上健志とお笑いコンビ『フルーツポンチ』を結成。副業として建築の現場でも働く“ガテン系”芸人。
井上伸吾(いのうえ・しんご)
ユーチューブ『建設チャンネル』を運営する『株式会社 井上技研』の代表。学生時代から建設現場のアルバイト、職人歴含めて5年。大学卒業後、セブンイレブンジャパンに5年間勤務。美容機器の営業や建設業向けの人材紹介会社を経て独立。東京・亀有と三軒茶屋に営業所を構える。