5月17日、NHK『クローズアップ現代』(月曜・火曜・水曜・19時30分~)が、「“誰も助けてくれなかった”告白・ジャニーズと性加害問題」と題し、ジャニー喜多川氏(享年87)の性加害問題を伝えた。性被害を受けた元ジャニーズ所属タレントが、テレビカメラの前で取材に応じたのは初。視聴者は、“一歩前進”の手応えを感じ取りつつも、報道の”甘さ”を指摘する声も出ている。
BBCの報道、『週刊文春』(文藝春秋)での毎週の性被害告発、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(26)による記者会見、藤島ジュリー景子社長(56)の謝罪動画、さらには国会内でのヒアリング――。ジュリー社長の異例の“顔出し謝罪”は、波紋が広がり続けるなかでジャニーズ事務所サイドが、世論をいよいよ無視できなくなった、という表れとも受け取れる。
制作会社関係者が言う。
「『クローズアップ現代』では、ジャニー氏の件が長年指摘されてきた問題であること、また2004年2月の最高裁判決で文春の報じた”セクハラ”箇所は”真実”とされたことなど、性加害を訴える歴史を丁寧に振り返ったうえで、《NHKなどのメディアが大きく報じることはありませんでした》と、自分たちがスルーしてきたことは認めました。
ただ、《なぜこの問題を報じてこなかったのか》については、冒頭で《私たちの取材でもこうした声を複数いただきました。海外メディアによる報道がきっかけで波紋が広がっていること、私たちは重く受け止めています》としただけにとどまりました」
”なぜ報じてこなかったか”について完全にスルーしたまま、番組が終了したことに対して、視聴者からも、《詰めが甘い》《よく言うよって感じ》《今さら正義ぶるな》《各メディアがなぜこの問題を見て見ぬふりをしたのかについての解説を聞きたかった》と、物足りなさを訴える声が続出した。
こういった批判の背景には、NHKとジャニーズ事務所の間に深い関係があることが影響している。NHK関係者が語る。
「今、NHKとジャニーズの関係性は非常に深い。
昨年の紅白歌合戦でも、局としては、プチ韓流歌合戦を実現したかったのですが、ジャニーズ事務所の反対により断念。白組は男性韓流グループの出場が0。紅組がIVE、LE SSERAFIM、TWICEにNiziUと4組が出ていたのとは対照的です。
また、昨年6月からジャニーズ事務所は顧問にNHKでドラマのプロデューサーや制作統括、制作局長などを経て、理事を2年務め退職した男性を迎え入れている。彼が松本潤(39)主演の大河ドラマ『どうする家康』(日曜・20時~)を成立させたと言われています」