■10cm延長の費用 日本は2000万円、海外600万円

「骨延長手術は元々医療用として、骨折や小人症など幅広い治療で行なわれています。ただ近年、美容目的での相談が増えている。相談者は20代~40代で、165cm前後の男性が大半。日本人男性にとって170cm以上が理想のようです」(吉野医師、以下同)

 どうやって骨を延長するのか。

「骨をわざと骨折させ、脚の外側に装着した器具(創外固定器)または骨髄内部に入れた釘(髄内釘)により1日1mmずつ伸ばします。新しい骨は柔らかく、引っ張ることでそこに骨ができ、脚が伸びるわけです。

 伸ばす長さは大腿骨(膝上)と下腿骨(膝下)各5cmが“安全圏”。これ以上は骨変形やインプラント損傷など合併症リスクが高まります。問題なのは筋肉や腱などの軟部組織で、引っ張られると固くなり、立ってもつま先立ちになってしまうのです」

 吉野医師は、「美容的骨延長は、運動機能を犠牲にする。術後のリスクを理解して手術を受けるべき」だと強調する。また、美容的骨延長術には複数方法があるが、吉野医師がよく行なう創外固定器と髄内釘を併用した手術で5cm伸ばす場合、日常生活を送れるようになるまでの期間は「1年」だという。

「片足ずつの手術で、片足の器具装着が2か月、さらに骨が完全にできるまで2~3か月。両足で計一年弱です。両足同時の手術は日常生活が大変ですし、合併症リスクも高まるため、本人が希望し、介護者がいる場合にのみ行ないます」

 その費用はどうか。

「自費診療になり、日本では手術や処置料など含め、両下腿骨で1000万、両大腿骨で1000万円。10cm延長なら計2000万円です。海外は人件費等が安いため、トルコなら600万円~1400万円ほどですね」