■検証番組で触れることになる「もう1つのタブー」

 番組を立ち上げたテレビ朝日のSプロデューサーは、2019年7月の『週刊新潮』(新潮社)の取材を受け、次のようにジャニー氏からの“圧力”をほのめかしたこともあった。

《たとえば、台頭してきた他の事務所の男性アイドルを番組に出すかどうか考えていたときのこと。ジャニーさんは“出したらいいじゃない。ただ、うちのタレントと被るから、うちは出さないほうがいいね”と言う》

「しっかりと検証番組を制作するとなると、『Mステ』は絶対に避けては通れません。むしろ、『Mステ』の内情を調べ上げて公開しなければ、“検証が甘い”と指摘されてしまうでしょう。そういう意味ではテレ朝としてもやるしかないわけですが、『Mステ』のドロドロの裏側を出すとなると、“結果的にMCのタモリさん(78)を傷つけることにもなってしまう”となっているといいます。

 もちろん、タモリさんがキャスティング権を持っているわけでもないですし、何も悪いわけではない。ただ、『Mステ』の裏側で圧力めいたことやもの凄い忖度があったことが明らかになれば、結果として長年、タモリさんがやってきてくれた番組を傷つけることになるし、『Mステ』は“忖度の温床番組”というように位置づけを自らすることになるのかもしれない。そうなると、タモリさんの顔に泥を塗るようなことになってしまうと。

 タモリさんは超一流タレントで、テレ朝は『タモリ倶楽部』を長年にわたって放送。特番『タモリステーション』でもお世話になっていますからね」(前出の制作会社関係者)

※画像は「テレビ朝日宣伝部」の公式X(ツイッター)『@tv_asahi_PR』より

 タモリが所属する芸能事務所は、“芸能界のドン”とも称される田邊昭知社長(84)が率いる田辺エージェンシーでもある。

「これまでテレビ各局にとってジャニーズがタブーとされてきましたが、検証番組を放送することでタモリさんと田辺エージェンシーというもう1つの芸能界タブーに触れることにもなってしまう恐れがあるんです。迂闊に踏み込めば、かなりの痛手を負ってしまいかねない……。

 これまで、ジャニーズとあまりにもズブズブだったのが悪いわけですが……テレ朝は今、問題解決不可能なジレンマを抱えていると言われていますね」(前同)

 制作サイドも苦慮しているであろうテレビ朝日の検証番組は、どこまで踏み込んだ内容になるのだろうか。