■「550円で駆除します」悪徳業者も登場 金額の目安と注意点は

殺虫剤に耐性を持つ「スーパートコジラミ」も登場で…超悪徳“レスキュー商法”に騙されるな!ずさんな駆除で高額請求…専門会社代表が教える「業者選びのポイント」

 トイレの詰まりや鍵の紛失、水漏れ、シロアリ・ハチ等の害虫問題。こうした一刻を争うような問題を解決しようと専門業者に依頼したものの、高額請求をふっかけられた――こうした依頼側にとって不安が大きく、かつ緊急を要する事案につけ込むビジネスを“レスキュー商法”と呼ぶのだ。

「国民生活センターや各自治体の消費者生活センターでも再三注意を呼びかけていますが、なかなかなくなりません。最近の“ブーム”は、韓国で被害が急拡大しているトコジラミを駆除します、と謳ったもの。悪徳業者と消費者の間でトラブルが絶えません」(住宅クリーニング事情に詳しいライター)

「正直、集団化したトコジラミは一般市民の手に負えないというのが現状です」

 そう語るのは、千葉県茂原市に本社を置き、全国8箇所で営業所を展開、害虫駆除業務を行なう想和ホールディングスの早川佳宏代表だ。

「私の会社では最近、“業者に駆除してもらったけどトコジラミの被害が止まらない”という相談が増えています。お客様に“前の業者は何の薬を使ったのか”と確認しても、ろくに見積もりや作業内容をもらっていない。

 何を使ったのかあらためて前の業者に聞いてもらうと、トコジラミには効力のないダニ用の薬を撒いていたというケースが何度かありました。作業が適当すぎます。しかも、いずれも1回だけの駆除費用として30万円以上という高額な料金を請求している。

 そもそも駆除をするとなると、よほどトコジラミの血糞など痕跡があって“これはトコジラミの仕業だ”と確定しない限り、まずは屋内を観察して生態確認をするんです。ろくに見積もりもせずいきなり駆除作業に入るのは絶対にない。しかも仮にトコジラミがいたとして、駆除作業が1回だけというのも不自然だし、30万円は高すぎる」

 前述のように、卵を産み続けるトコジラミの駆除は一度で完全に取り切ることが難しく、2回から3回ほど作業をする必要がある。それが一度だけでハイ終了、というのは明らかにずさんだが、そうした場合にお金は戻らないのか。

「いったん、国民生活センターや各自治体の消費者生活センターに連絡すること。その後は交渉次第です。もちろん、いない害虫を”いる”と言って作業を行ないお金を請求すれば詐欺になる一方で、何らかの害虫が“いる”ので、駆除作業を行なった場合は詐欺にはあたらない。だから詐欺と証明するのもなかなか難しく、結果、お金を捨てただけ。泣き寝入りしている人がほとんどだと思います。

 そんな経験をした後に相談してくるお客さんは、一度失敗しているから疑心暗鬼になっていて、ものすごく根掘り葉掘り質問してきます。そういう感覚を先に持つようにすれば良いんですけどね……」(同)

 早川氏は「駆除料金として“低価格”をうたっているところは、保証期間を設けていても30日間と短いことが多い」と悪徳業者の存在を示唆する。

「業界内で有名なところでは、害虫駆除550円~、24時間いつでも無料相談可能、関東全域に対応し、到着時間は最短10分という業者。550円なんて、人件費はもちろん場所によってはガソリン代にもならない。安すぎるものは疑うべきです。

 激安価格でいい加減な作業をされ、保証期間も短いとなると、保証期間外に有料で2回目を頼まなくてはならない羽目になる。つまり、2回目の作業を見越したビジネスなので、注意が必要です」

 被害程度にもよるが、早川氏のところでは「1LDKの家で駆除作業は2回、2年保証で20万円~30万円ほど」とのこと。

 悪徳業者に引っかからないための具体的な注意ポイントは「見積もりを取ること」「金額に納得がいかない場合は断ること」だ。

「害虫を目の前にすると、どうしても焦って駆除したくなるものですが、急がないこと。鉄則は、見積もりを取ることです。複数の業者から相見積もりを取って、相場感を知りましょう。高いのはなぜ高いのか、安いのはなぜ安いのかという根拠に納得することが大事です。

 また、無料見積・追加料金なしなどとうたって訪問した後、現場を見て“これは急いだほうがいい”などと煽って強引に作業を進めた挙げ句、“このケースは特殊なので……”と追加費用をかさ増しし、高額請求をする業者もいます」(早川氏)

 さらに意外なことに、“引っかかりやすいのはスマホ世代”なのだという。

「Googleには、スポンサー広告をつけていると検索結果の上位に表示される仕組みがあります。スマホで検索した時、なんとなく“上位ならみんな検索しているから大丈夫”と思ってしまいがちですが、それはただの広告でしかありません。

 また、日本ペストコントロール協会のような団体への加盟もひとつの信用基準ではありますが、必ずしも加盟している業者が腕利きとは言い切れない。口コミも大事だと思います」(前同)

 トコジラミに血を吸われたうえ、業者にカネまで吸われないようにしたいものだ。

(2023年12月7日公開)