年間を通して30度近い気温が続くガーナの首都アクラ。日本からおよそ1万3700キロ離れたこの都市で、熱い挑戦を続ける男がいる。猪爪雅也さん(24)だ。今年3月に東洋大学を卒業し、異国の地で二郎系ラーメン『MANPUKU RAMEN BAR』を立ち上げたという猪爪さん。

 ガーナでラーメン店を出店するという猪爪さんの挑戦は、ただ海外で店を出すというその一言で片づけられるものではない。ニューヨーカーを虜にしている一蘭もイギリスやフィリピンなど12もの国々で店舗を展開する一風堂も足を踏み入れていない“ラーメン未開の地”アフリカでの挑戦である。

 異国の地で店を作り、仲間を集め、究極の一杯を作り上げる。本サイトは日本からはるか離れた場所で奮闘する猪爪さんの姿を追った。

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 猪爪さんが『MANPUKU RAMEN BAR』をオープンしたのは今年2月。場所は首都アクラにあるコトカ国際空港の近くのオフィス街の一画だという。

『MANPUKU RAMEN BAR』 ※画像提供/猪爪雅也さん

「日本人がイメージするようなビル群がある場所ではないんですけど、人通りが多い場所ではありますね。空港に近いこともあってか、様々な人種の方がお店にも来てくれます」

 猪爪さんが異国の地で二郎系ラーメンの店を開店しようと考えたのは昨年3月のことだという。

「大学を休学して出かけていた2年間の海外放浪から帰国したんです。大学に入学した直後から、自分は二郎系ラーメンのお店でアルバイトをしていました。それこそ海外放浪中もワーホリ先のオーストラリアで二郎系ラーメンを振る舞ったりしていたんです」

 オーストラリアで猪爪さんが働いていたのは日々150人ほどが寝泊まりしていた現地のゲストハウス。そこでは清掃員をしていたという。

「施設の中に20個くらいズラッと並んでいるコンロを使って交流も兼ねて一緒に食事を作るんです。二郎系ラーメンを作ったら思いのほか皆に喜んでもらえて興味を持ってもらえました。この光景を見たときに、“海外で屋台ラーメンを始めれば旅をすれば、自分が作る一杯で様々な人のお腹を満たせるかも”と思いましたね」

 そんな猪爪さんの思いは帰国後、ガーナのアクラで飲食事業を手がける実業家の関根賢人さんと出会ったことで形となっていく。関根さんは以前、現地で唐揚げの屋台事業を展開した人物だ。そんな関根さんは、アフリカの地で次なる飲食ビジネスを模索していた。

「ちょうど関根さんが建設中の物件の活用方法を検討されていたタイミングだったんです。それもあって、関根さんと話した翌朝には、“ガーナでラーメン店をしない?”って誘われたんです。僕も“もちろんやります”と、即答しました」

 猪爪さんが異国での挑戦を即断即決できたのには理由がある。

「旅の途中から、そのとき自分の人生の中にある選択肢の中で一番面白そうなものを選ぼうって決めていたんです。ガーナで二郎系ラーメン店を経営するという選択肢を提示されて断ろうとは思いませんでした」

 世界を放浪した末に1人の若者がたどり着いた“海外でラーメンを作りながら生きる”という夢――。それは既に異国の地で飲食ビジネスを展開していた大人の目に留まったことで大きく動き出す。